こんにちは、『プログラミングの王様』編集部のヒロキ(@pgm_osama)です。
日々、株式投資をしています。
当然ですが、簡単には勝てませんので「行動→失敗→検証→分析→仮説→行動」をひたすら繰り返しています。
そこで本気で相場と向き合う中で、日々色々なことを学べているわけですが、今回は「信用評価損益率と株価の動き」についての連動性について、情報をまとめようと思います。
いつもの「問題解決」向きの記事ではありませんが、株式投資で勝つための1つの知識として読んで頂ければと思います。
信用評価損益率は常時マイナスであることが普通
信用評価損益率について考察していきます。
信用評価損益率が分からない方は信用評価損益率 信用残 日経平均比較チャートの解説をご参照ください。
信用倍率とは、信用買い残と信用売り残の比率を表したもので、信用倍率=信用買い残÷信用売り残 で計算されます。数値が1以上なら買い残が多い状況になります。
評価損益率とは、信用取引残高の買残高に対する評価損益の割合のことを指します。評価損益率と略されます。
・損益率が-3% 相場が天井圏とみられる。
・損益率が-10% 追証が発生し始め 個人の投げ売りよる急落が発生する水準。
・損益率が-15~20% 相場が底値圏とみられ、上昇が見込まれる水準。
なぜ、信用評価損益率は通常マイナスなのか?というと株式投資の世界は基本的には90%の人が損をしたお金が、10%の人に移動する世界になるからです。
90%の人がマイナスになる状態が株式市場において正常な状態
つまり、信用評価損益率はマイナスの状態こそが通常の投資の世界の実態を表していると見ることができます。
ブログ執筆時(2019年12月17日)の信用評価損益率は−11.74%です。
あなたが、この記事を読む「今の信用評価損益率」もぜひ確認してください。
» https://nikkei225jp.com/data/sinyou.php
さらに、この信用評価損益率は「現時点」の数値と合わせて、過去からの推移も重要になります。
こうしてみると、2019年の年末に向けては実は評価損益率はー12.57% → ー12.37% → ー12.10% → −11.74%とマイナス数値を切り上げていることが分かります。
日経平均の上昇と合わせて、市場で「儲かっている人」が増えているということです。
もちろん株式投資は信用取引だけでなく、現物買い(売り)もあるために、一概に言えませんが、それでも信用取引という片方の側面からでも、市場全体がどれだけ「損をしているのか?」「儲かっているのか?」を推測することは可能です。
この信用評価損益率がー5%の水準に近くと、今度は相場にいる大半の人が利益を得ている状態になるために、利益確定が猛スピードで進みます。
ー5%を過ぎても株価が上昇を続ける場合はバブルが加熱している危険水域と判断できるので、現金比率を高めるという戦略も考えるべきです。
個別銘柄の信用残の調べ方
個別銘柄の場合は「銘柄名 信用残」でググると日経のサイトが表示されるので、毎週火曜日に更新される情報を見て、信用評価損益率の状態をチェックしておきましょう!
チェックする視点は今回と前回の差分です。
- 信用買い残がどれくらい増えたのか?減ったのか?
- 信用売り残がどれくらい増えたのか?減ったのか?
- それに連動して、株価はどう動いているのか?
信用残の一般論としては、株価が大きく下落した場合は信用残も大きく減ります。
その後に信用残の下げ止まりが確認されると、そこから再び信用残が増え始め、株価を上昇させていきます。
株価が上昇する間は信用残が増えることは自然の現象なので問題ありません。
注意が必要なのは信用残が増えているのに、株価が下がっている時です。
株価が下落に向かうトレンドの中で、信用残が増えると上値がどんどん重くなります。
ロジックとしては以下の通りです。
- 株価が上昇していた人気銘柄に信用買いが集まる
- しかし高値はピークアウトしていて利益確定も多く上値が重くなる
- 今度は高値で買った人たちが含み損になり損切りをするので抵抗になる
- この現象を知っている人は押し目を狙うことなく買いに入らない
- この現象を知らない人は人気銘柄の押し目を狙って買ってしまう
- しかし前回上値ホルダーの損切りが多く抵抗を突破できない
- 株価の下落が加速し始める
株価が上昇ムードから一転して調整に入った時に、信用残が増加すると上記のロジックで逆回転を強めることになってしまいます。
信用残の推移とチャートの動き
この6月頭の押し目を起点に株価は上昇を始めます。
この時の信用残を確認します。
この時の信用残は買い残が151万株、売り残が7.2万株で信用倍率は20倍です。
この信用残とチャートの推移を適合させることは「今後のエントリーの判断目安」に役立つ、再現性の高い手法です。
その後に8月14日と11月14日の2回の決算発表で大きく動意付いています。
1回目の8月14日発表の決算(第2四半期)では、市場の目線(そこまで良い業績ではないだろう)とは逆に、良い決算が発表されたので、大きく上昇に向かい始めました。
ここで1つ注意すべき視点は、この8月14日の良好な決算に対して、次の決算も「必ず良い決算が出る」とは限らないということです。
「前の四半期決算が良かったから、次の四半期決算も良い数値が出るだろう」は単なる妄想であり、非常に甘い見立てになります。
しかし、銘柄のファンダメンタルズを深く調べずに「妄想と期待値」だけで売り買いをする初心者は「8月14日の決算が良かったから次の決算も良いはず」と勝手な期待を抱いたまま、次の決算(11月の第3四半期)を迎えることになります。
この「次の決算に期待した人がいかに多いか」がなぜ分かるのか?というと11月14日の決算発表に向けて、株価が上昇を続けたという事実からの推測です。
11月の頭から決算日に向けて株価は上昇を始めています。
では、この1回目の8月14日の決算時の信用残の推移を見てみると
決算発表前に248万株あった信用買いが、決算後には216万株まで32万株減っています。
良い決算を超えた先で実は信用買いは減っているということです。これは決算後の上昇による利益確定も進んだのも事実だと思いますが、実はこの上昇を手助けした1つの要因こそは、信用売りの増加ということです。
決算後には28万株から59万株へと、約2倍に信用売りが増えています。さらに翌週には92万株と信用売りは倍々ゲームで増えています。
つまりこの8月14日以降の上昇は、この倍々で増えた空売りの失敗による買い戻し効果による急騰だったということです。
この売り残の増加を8月16日に把握して、その時の株価の推移(上昇に向かう勢い)を適合できれば、まだまだ利確を伸ばすことができるはずです。
赤丸の時点では信用買いは248万株から216万株まで32万株減っています。
この段階で決算をまたいで保有していた買いのホルダーたちは全員が含み益の状態です。
一方で28万株から59万株へと、約2倍に増えた売り残は、株価が高値更新される度に含み損が拡大します。
この含み損の一部はロスカットによる買い戻しとなるので、更なる株価上昇を手助けしてしまいます。
※需給の観点からも多くの買いが殺到して、売り目線の人よりも買いが多くなれば株価は上昇します。その上昇という現象を見て遅れて入る買いが増え、再帰性からさらなる上昇が始まります。
次に大きく下落をした11月14日の決算に向けての信用残の推移を確認しましょう。
11月14日の決算に向けて、売り残がどんどん減っています。前回決算での空売りによる失敗を懸念している状態です。逆に買い残は増えていますね。
株価は投資家の心理を常に反映しています。前回に傷を負った経験は、その後の恐怖に変わるということです。
つまりショートで入る空売りの対象からアエリアは除外されていることが分かります。
売り残が倍々で増えた8月14日の決算とは違い、売り残がどんどん減っていくということは、その後の買い戻しも弱くなるということです。
9月27日の92万株 → 10月4日の66万株 → 10月25日の53万株 → 11月1日の44万株という推移を見れば、11月14日の決算以降に、8月14日以降の爆上げ相場が難しいことは事前に推測できます。
さらに11月15日で48万株あった売り残は、その後に32万株と、この1年でも最低水準になっていますので、今後の株価上昇は「相当な買いの材料」が発生しない限りは難しいと断言できます。
※例えば人気ゲームの世界進出のIRなど。
一方で11月14日に向けての買い残の推移を見ると11月8日の279万株から決算発表後の11月15日には326万株と47万株も増えています。
この間にも決算内容に落胆した相場は株価を下落させています。
買い残が増えているのに、株価が下落している場合は、将来の売り圧も加わり、さらに下落を加速させます。
11月22日には買い残がさらに10万ほど減って316万株になっていますが、それ以上に空売りも減っている(こちらは利益確定)ので信用倍率で見れば6.76倍から9.64倍と信用買いが実際は増えている状況です。
さらに株価の動きと信用残を深掘りすると、信用買いが279万株から決算発表後の11月15日には326万株と47万株も増えたのは、ギャップダウンと大陰線の日(上記の赤丸)の場所です。
翌月曜日には、さらに下げているので、この信用買いで増えた47万株は全て含み損の状態です。
もちろん、意図としては上昇の全値戻しラインからの押し目エントリーになりますが、この押し目を狙うエントリー時に信用残の推移を見れば「信用買いが増えている中で下落している。この押し目で一時的に止まっても、これを買い上げるほどの材料がない場合は、この信用買いが将来の売り圧力になるので、まだ一段下げる可能性があるぞ」と判断しなければいけません。
- 決算後に空売りの売り残が減っている(=すでに利確)
- 将来の買い戻しの圧力は強くない
- 買い残が増えている中で株価は大きく下落している
- 含み損からロスカットにまわるので売り圧力になる
- これを上回る新規の買い需要があるのか?何か強烈な材料が出るか?
こう考えることができれば、960円〜1000円付近が一旦の抵抗になることも分かります。
これらが株価が下落局面、もしくは調整局面の中で、信用残が増えると上値が重くなるというロジックになります。
もちろん、このロジックに絶対はありません。
それは、この全てのロジックを吹き飛ばすほどに、強烈な「買い需要」に傾く材料が出れば、株価は上昇します。
しかしながら現時点で「買い」の判断はできません。
もちろん短期の押し目の上昇益は取れることがあっても、この状況で「決算で売られて安くなったから買いだ」と入るのは初心者的な思考です。
これらの信用残のロジックを知っていれば「白髭が出て反発する」とエントリーをしても、報われるには長期の時間がかかりそうです。
つまりチャートだけを見て「安くなったから買う」のではなく、チャートを下落させた材料の強さ、その裏側で「誰がどれくらいの損をしているのか?」を考えるべきです。
含み損を抱えている人たちは、建値に近付けば必ず売り抜けようとします。
そこが一旦の抵抗に必ずなります。
このように信用残から、他の投資家の心理を推測すること、ロジックに分析してチャートと適合させること。
チャートの安い高いだけで投資エントリーしないようにしていきたいものです。
ということで、本日は以上です。
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